辺境のちっちゃな捨てられ領主は敵国女帝のお気に入りのようです~転生幼児、最強の家族とスキルを持つ秘密兵器でした~
 と、渋い顔をしているのは、グラス公爵家がつぶされてから、貴族の筆頭となった公爵家の当主だ。トーリの存在を認めたくなくとも、トーリが役に立っていることは認めざるを得ないらしい。

「では、会議は終わりにしよう。トーリ、明日からは元の生活に戻るといい」
「はい、陛下」

 静かに頭を下げたけれど、トーリは胸がちくっとするのを覚えていた。

(……役に立たなかったら、ここにいたら駄目なのかな……?)

 それなら、開拓村に戻してくれればいいのに。あそこは、トーリが自分でいたいと思った場所だ。
 だが、リュディアはトーリを自分の側に置くという。たしかに彼女は帝国一の権力者だし、彼女のいうことに従わざるを得ないのかもしれないけれど。

 旅で身体は疲れているはずなのに、少しも眠くならなかった。

(……あれ?)

 なんだか変な気がして、トーリは廊下に出た。明確に何かがあったというわけではない。ただ、嫌な予感というか、そんな気がしただけ。

「陛下、まだ起きてるんだ……」

 リュディアの執務室からは、わずかに明かりが漏れている。
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