辺境のちっちゃな捨てられ領主は敵国女帝のお気に入りのようです~転生幼児、最強の家族とスキルを持つ秘密兵器でした~
 なお、レーケがこっそり教えてくれたところによると疲労回復効果と美肌効果、それから眠気を誘う成分も入っているらしい。

「気を遣わせたか」
「僕も、眠れなくて困っていたから」

 笑ったリュディアが手招きしてくれたので、遠慮なくソファに並んで腰を下ろす。これを呑み終えたら、少しは眠れるのではないだろうか。

 ◇ ◇ ◇



(……こんな幼い子供に気を使わせてしまうとは)

 ホットミルクの入ったカップを持ったトーリの頭頂部を見下ろす。柔らかくて、小さな身体。足元にはガイストが丸まっていて、ちらちらとこちらの様子をうかがっている。
 トーリに害を与えるとは思っていないだろうが、どうしたって気は抜けないのだろう。
 こんな風に眠れなくなったのは、グラス公爵家の一件があってからだ。
 アルヴァリクとの婚約を結んだのは、政略からだけではなかった。二歳上の従兄。グラス公爵家の長男だったけれど、リュディアのために後継者の地位は弟のエルマーグに譲ると言ってくれた。
 ――たしかに、幸せだったのだ。
 女性の身でありながら、皇位を継ぐと決めた。継ぐならば、最高の君主にならなければ。
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