辺境のちっちゃな捨てられ領主は敵国女帝のお気に入りのようです~転生幼児、最強の家族とスキルを持つ秘密兵器でした~
「元々、ここはごく限られた人しか出入りしませんからな。薬を作るのに役立つのであれば、幸福なことでございますよ」

 庭師は幼いトーリ相手にも言葉を崩さない。こういうところが、リュディアにも信頼されているのかもしれない。
 メディックビーの作る薬は人間が作るものより効能が高い。だが、それだけでは多くの人の手には渡らないから、皇宮でメディックビーが暮らすようになっても、薬師達は研鑽を積んでいるそうだ。

「あのね、レーケ達が作る蜂蜜はすごく美味しいんだよ! これ、レーケがお礼だって」

 小さな瓶に入れた蜂蜜を渡すと、庭師は目を丸くした。
 それからきょろきょろと左右を見回し、トーリの方に身をかがめてたずねてくる。

「本当によろしいのですか? これは、メディックビーの」
「うん、レーケからお礼にって」

 庭師の姿を認めた瞬間、レーケはトーリにそうするようにと囁いた。

「これを一滴飲めば、寿命が十年延びるそうですな」
「さすがにそこまでは伸びないと思うけど、疲労回復にはいいんだって」
「トーリ様は、難しい言葉を知っておられる」

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