辺境のちっちゃな捨てられ領主は敵国女帝のお気に入りのようです~転生幼児、最強の家族とスキルを持つ秘密兵器でした~
「パパ、トーリ君は元気?」

 ラウガルトの頬をぺたぺたと触りながら、エルヴィは問いかける。どうやら、父親がきちんと帰ってきたことを確認しているらしい。
 これは、以前はなかった癖だ。あの事件以来、帰宅する度にこうしてラウガルトに触れるようになった。なんて恐ろしい思いをさせてしまったのだろう。

「ああ、トーリ殿は元気にしているよ」
「ガイストは? レーケは? キヴィは?」

 あの夜から、エルヴィはトーリ達のことが気になって仕方がないようだ。帰宅の度に、こうして問いかけられるのも毎度のこと。

「皆、元気だよ。そうだ、今日はトーリ殿と薬草園まで歩いたんだ」

 歩いたというより、正確には庭師達の尋問に行ったが正解だ。だが、娘の前で、事件のことについては語れない。

「いいなあ、パパ」
「何がだ?」
「トーリ君と遊べるんだもの」
「そうだなぁ」

 救出されて以来、エルヴィは一度もトーリに会っていない。娘がトーリに会いたがっているのは微笑ましいが、男親としてはなんとなくむず痒いものだ。
 どう考えても、エルヴィの初恋を側で見守っている形になってしまう。

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