辺境のちっちゃな捨てられ領主は敵国女帝のお気に入りのようです~転生幼児、最強の家族とスキルを持つ秘密兵器でした~
「というか、顔色が悪いぞ」

 ふと、リュディアの手がトーリの頬に伸びてくる。びくりとして肩を跳ね上げたら、彼女は目を丸くした。

(……怒らせた、かな……?)

 別に触れられたのが嫌だというわけではない。ちょっと、驚いてしまっただけ。
 けれど、リュディアが目を丸くしたのは別の理由があった。

「熱いではないか!」

 そう言われて、トーリは目を瞬かせる。熱い? 熱いって何が……?

「ラウガルト、来てくれ!」

 どこか焦ったリュディアの声。

(……あれ?)

 なんだか、彼女の声が少し遠く聞こえる。
 ふわふわしたまま考え込んでいたら、今度はラウガルトが近づいてきた。

「失礼」

 短くそう言うなり、彼はトーリの額に触れる。眉間にぎゅっと皺が寄った。

「発熱しております……すぐに侍医を」

 と続けたかと思うと、ラウガルトはひょいとトーリを抱え上げた。

「僕、歩けるよ?」
「歩くなんて、とんでもない。自分がどれだけ発熱をしているのかわからないのですか?」
「うーん……」

 たしかに、ちょっと熱くてふわふわする。けれど、それだけだ。

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