辺境のちっちゃな捨てられ領主は敵国女帝のお気に入りのようです~転生幼児、最強の家族とスキルを持つ秘密兵器でした~
 いつもは、トーリを経由しての会話だったからもどかしい。トーリが言うには、レーケはトーリのことを『坊や』と呼ぶのだという。
 レーケにとっては、トーリもまた自分の巣の大切な子供なのだろうか。トーリの枕から、リュディアの腕へとレーケが移動してくる。

「レーケも心配なのか?」

 眠っているのに、トーリの眉間には皺が寄っている。夢の中で、彼は何を考えているのだろう。

(……大切、か)

 幼い頃は、父はリュディアを大切にしてくれていた。人前ではあまり親子らしいことはしなかったけれど、私的な場に戻ればいつだってリュディアを愛娘として扱った。
 ――アルヴァリクをリュディアの夫に選んだのも、彼ならばリュディアを大切にすると思っていたからだろう。まさか、裏切るとは想定もしていなかったに違いない。

「陛下、子供の発熱に回復薬は厳禁ですよ。体力を奪うことになってしまいます。きっと、メディックビーの薬でもそれは変わらないでしょう」
「――そうか」

 ラウガルトの言葉に、リュディアは深くため息をついた。
 子供を育てるというのは難しい。

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