辺境のちっちゃな捨てられ領主は敵国女帝のお気に入りのようです~転生幼児、最強の家族とスキルを持つ秘密兵器でした~
 床に転がったまま、トーリが見上げると、そこにいたのは地味な服装に身を包んだ、見たことのない男だった。服装は地味だが、仕立ては上質なものだし、金の耳飾りだの、大きな宝石のついた指輪だの、高い品々を身に着けている感じからすると、裕福であることを隠すつもりはないらしい。
 と、トーリの首になにやらカチリとはめ込まれる。首輪のようなものだった。その瞬間、世界から音が消えたような気がした。

「さて、これでお前は能力を失った」
「……え?」

 男の言葉に、トーリは目を瞬かせた。

(……本当だ)

 キヴィに話しかけようとしても、レーケに話しかけようとしても、ガイストに話しかけようとしても、皆の存在を感じることができない。
 今まで、こんなこと一度もなかったのに。

「お前の能力を封じさせてもらったぞ。魔物やら精霊やらを呼び出されてはかなわないからな」
「僕をどうするつもり?」

 トーリは、男を見上げた。魔物使いの男は、一歩下がったところに控えている。トーリを掴んで持ち上げた魔物もまた、魔物使いの側でおとなしくしていた。

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