辺境のちっちゃな捨てられ領主は敵国女帝のお気に入りのようです~転生幼児、最強の家族とスキルを持つ秘密兵器でした~
 トーリが領主の村なのだから、トーリだけが行けばいいのに。けれど、リュディアと共に皇宮を離れることで、少しうきうきしているのも否定はできなかった。
 誘拐犯は言っていた。トーリとリュディアの距離が近すぎる、と。それは、帝国の人からしたら不安に思うかもしれないけれど、トーリにとってはリュディアとの関係は大切なものだ。

「……わあ!」

 リュディアやラウガルトと共に、皇都に向かった時とは違う。あの時は、自分がどうなるのかわからなくて、二人ともさほど気心は知れていなくて。
 だから、トーリにできることは少なかった。
 だが、今は違う。珍しいものを見かける度に声をあげ、リュディアに何が見えたのかを教える。

「見てください、陛下! あんなに赤い花が咲いてる。あの花、なんでしょうね?」
「あれは、スリピィドという花だな。実は甘くてうまいぞ」
「あれがスリピィドの花! 果物は食べたことあります!」

 まるで、小さな子供に戻ってしまったみたいだ。いや、小さな子供なのだがとにかく目の前の景色が珍しくてしかたない。
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