辺境のちっちゃな捨てられ領主は敵国女帝のお気に入りのようです~転生幼児、最強の家族とスキルを持つ秘密兵器でした~
 まだ、トーリの領主としての勉強は始まったばかりだ。というか、教育もせずにトーリを放り出したラプハート家は何を考えていたのだろう。
 もしかして、開拓村までの道中で殺されればいいと思っていたのだろうか。あの時の冒険者達は、そういうことを考えていたのだろうし。

(やめやめ、あの家のことを考えたってしかたないんだ)

 トーリの居場所は、リュディアの側だ。
 不意に不安な気持ちがこみあげてきたけれど、トーリはそこから意識をそらした。

 視察を終え、村に戻ってきた時だった。

「……陛下、ご注意を」

 前を進んでいたラウガルトがこちらを振り返る。リュディアの前に乗せてもらっていたトーリは伸びあがって村の方を見ようとしたけれど、トーリの身長では伸びあがったところでさほど変わりはなかった。

「……ラプハート家の者か」
「なんで今さら?」

 頭の上から、リュディアの不機嫌そうな声が降ってくる。トーリは首をかしげた。
 なんで今さら、ラプハート家の者が開拓村に来るのだろう。トーリが帝国に行っても、心配するそぶりすら見せなかったのに。
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