辺境のちっちゃな捨てられ領主は敵国女帝のお気に入りのようです~転生幼児、最強の家族とスキルを持つ秘密兵器でした~
 布を贈れば、村長夫人が服を仕立てたり、テーブルクロスを作ったりできるだろう。完成した服やテーブルクロスを贈るより、好きなものを作れるように布のまま贈った方がこの地では役に立つはず。

「……平和だな」

 早くも二つ目のサンドイッチに手を伸ばしながら、ふとリュディアがつぶやいた。
 平和。
 言われてみればそうかもしれない。
 ここは他の場所から隔離されたような空間だから、魔物の心配もそこまでしなくていいはず。爽やかな風が吹き抜けていくと、ふわりと立ち上る甘い香り。
 蝶が花の間をひらひらと舞っていて、ガイストの鼻先にとまる。ガイストは鼻の頭に皺を寄せたけれど、蝶を追い払おうとはしなかった。
 たしかに、この光景は平和だ。こんな風に、のんびりと食事をする機会もなかなかないから余計に強くそう感じるのかもしれない。

「トーリ」
「はい、陛下」
「魔鉄の採掘は、なるべく早く始めよう。村にも還元できるようにする」
「お願いします。僕は、そういうことはわからないし」

< 204 / 266 >

この作品をシェア

pagetop