辺境のちっちゃな捨てられ領主は敵国女帝のお気に入りのようです~転生幼児、最強の家族とスキルを持つ秘密兵器でした~
 なんてリュディアは言っているが、本気でそう思っているわけではない。たぶん、楽しい時間を過ごして戻ってきたところに、どうにもこうにも面倒そうな相手がいるので機嫌が悪くなっているだけだ。

「ラ、ラプハート辺境伯家は、賠償金と身代金をお支払いする用意がございます! どうか、トーリ様とこの地を王国に戻していただきたく」
「――はっ!」

 使者のその言葉を、リュディアは鼻で笑うことで返した。すごく態度が悪い――とトーリなどは思ってしまうが、たぶん彼女はこういったふるまいをしても許される側の人間だ。なにしろ、帝国一身分の高い人だし。

「ラプハート辺境伯家はずいぶん呑気なのだな。トーリが私のところに来たのは、もう何か月も前のことだぞ。トーリと共に帝国領となった領地を取り戻そうとする気概もほとんど見受けられないし、息子が不要なのかと思っていた」
「そ、そんなことはございません!」

 リュディアが首をかしげると、使者は焦ったように手を振る。

(なんで、今さら僕を取り戻そうとするんだろう)

< 207 / 266 >

この作品をシェア

pagetop