辺境のちっちゃな捨てられ領主は敵国女帝のお気に入りのようです~転生幼児、最強の家族とスキルを持つ秘密兵器でした~
「……そうなの? エルヴィちゃん、来てくれてありがとう」

 エルヴィと顔を合わせるのは、あの日以来だ。ラウガルトとそっくりの目を細めたエルヴィは、トーリにバスケットを突き出した。

「あのね、うちの菓子職人はクッキーを焼くのがとても上手なのよ! 一緒に食べましょう」
「毒見はすませました」

 エルヴィの厚意に甘えていいのかとちらりとラウガルトを見上げたら、もうトーリが食べる前提で毒見まで済ませているようだ。
 甘いものは好きだし、トーリとしては断るつもりもない。

「ありがとう! じゃあ、中庭に行く……? その、エルヴィちゃんが、メディックビーが怖くなければ、だけど」

 中庭に誘ってから思い出した。中庭には、メディックビー達が好んで蜜を集める薬草が植えられている。人に危害を加えるようなことはないが、女の子としてはメディックビーの存在は怖いのではないだろうか。
 けれど、エルヴィはにこにことしている表情を崩さない。

「素敵! あのね、メディックビーが私を助けてくれたって聞いたの。お礼を言いたいわ」

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