辺境のちっちゃな捨てられ領主は敵国女帝のお気に入りのようです~転生幼児、最強の家族とスキルを持つ秘密兵器でした~
 本当は、もっと早く来たかったのだが、父親であるラウガルトの許可は下りなかった。先ほどリュディアのところに挨拶に行ったのだが、とても綺麗な人で驚いたなど、エルヴィの口はとどまることを知らなかった。

「じゃあ、中庭に行ったら呼んでみようね。きっと、近くにいるから」

 レーケは、トーリの側を離れていることも多い。
 今日は、中庭にいる群れの様子を確認に行くと言っていたから、そちらに行けば会えるはずだ。トーリが呼べばすぐに駆けつけてくれるけれど。

「ありがとう、トーリ君!」

 今日のエルヴィは、ラウガルトと同じ色合いの黒髪を、二つに分けて結っている。ピンクのドレスにはレースとフリルがたっぷりとあしらわれていて可愛らしい。
 中庭に向かう廊下を、トーリとエルヴィは並んで歩いた。バスケットはラウガルトが持っている。

「ねえ、トーリ君」
「なに?」
「あのね、トーリ君のお友達……ガイストは今日はいないの?」
「うん、たぶん……ガイスト、いる?」

 エルヴィがひそひそ声でたずねるので、トーリもひそひそ声で返す。
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