辺境のちっちゃな捨てられ領主は敵国女帝のお気に入りのようです~転生幼児、最強の家族とスキルを持つ秘密兵器でした~
 バスケットを広げたのは、中庭の隅、咲いている花がよく見える場所だった。ラウガルトが支度をしてくれて、三人揃ってそこに座る。

「お茶の用意をしてきたのよ! トーリ君はどれが欲しい?」

 どうしてもトーリの前ではお姉さんぶりたいらしい。エルヴィがバスケットの蓋を開けると、甘い香りが立ち上った。
 バスケットの中にはお菓子の他に水筒やカップ、小皿なども入っていて、エルヴィはまめまめしくそれを全員に配る。
 バニラクッキー、チョコチップクッキー、周囲に砂糖で飾りをつけたディアマン、ココア生地とバニラ生地を交互に重ねて渦巻き模様を作ったクッキー、ちょっぴり大人なコーヒー風味のものもあるらしい。
 フィナンシェ、マドレーヌにドライフルーツ入りのパウンドケーキ。それからトーリの好物であるハニーケーキも入っているのは、ラウガルトが気を利かせてくれたのかもしれない。
 三人で全部食べてしまうのは、少々多い量だ。きっと、半分以上はお持ち帰りになるだろうが、エルヴィの気持ちが嬉しい。

「どれも美味しそう! 全部食べたい!」
「食いしん坊ね、トーリ君は!」
「だって、美味しそうだもん」

< 219 / 266 >

この作品をシェア

pagetop