辺境のちっちゃな捨てられ領主は敵国女帝のお気に入りのようです~転生幼児、最強の家族とスキルを持つ秘密兵器でした~
 頭の中身はそれなりの年齢ではあるが、甘いものが欲しいという欲求を押さえられない。間違いなく身体にトーリの思考は引きずられている。
 バスケットの中にまんべんなく視線を走らせ、どこからいこうか手をそわそわさせているトーリの様子に、またもやエルヴィは笑った。
 ラウガルトは娘とトーリのやりとりに、口元がほころぶのを抑えられない様子である。

(ラウガルトさんって、娘さんと一緒にいると表情が違うなあ)

 いつもは威厳のある表情が、こうしていると父親の顔というか愛情あふれる表情というか、今まで見せたことのない顔になる。

「あのね、トーリ君。ハニーケーキは、メディックビーの蜂蜜を少し分けてもらったって、うちの菓子職人が言ってたわ」
「え、本当に?」
「陛下が、娘にも食べさせるといいと言って、少し分けてくださったんだ」
「なるほどぅ」

 ラウガルトの言葉に、トーリは納得した。ここで暮らしているメディックビー達の蜂蜜は、リュディアのところに何割か収めるのが約束だ。
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