辺境のちっちゃな捨てられ領主は敵国女帝のお気に入りのようです~転生幼児、最強の家族とスキルを持つ秘密兵器でした~
「あ、ああ……奥まで行っていいかは俺には許可を出せないから、そこにいてくれ」

 村の門の側にある石を指さして彼は言う。トーリが腰を下ろすのにちょうどいい大きさだ。うん、と頷いてトーリはそこに腰を下ろした。
『我が友よ、いいのか? あいつは、お前を信じていないように見えるが』

「いいのいいの。僕みたいな子供がいきなり一人で来て信用できるはずもないでしょ。村長の所まで連れて行ってくれたら上等だよ」

 肩から掛けていた鞄の中から、干し果物を取り出す。これは、護衛が残していった荷物から頂戴してきたものだ。
 護衛対象者を放置して逃げ出したのだから、荷物をあさられても文句は言えないはずだ。馬車に残されていた予備の武器や防具には手を出さず、食料、水、それに野営道具の毛布ぐらいしか持ってきていないのだから、そこは諦めてほしい。あ、あと馬車に残されていた金銭ももらってきた。そんなに大金ではないけれど。
 口の中で、ゆっくりと干し果物を転がす。素朴な甘みだ。
 貴族ならばともかく、庶民では甘味は貴重品になる。大事に食べようと決めているけれど、もう残り少ない。

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