辺境のちっちゃな捨てられ領主は敵国女帝のお気に入りのようです~転生幼児、最強の家族とスキルを持つ秘密兵器でした~
 眉を下げたトーリの周囲をぶんぶんと飛び回っていた女王蜂が、笑ったように思えた。彼女はトーリの目の前まで来ると、足の一本を伸ばして額をつつく。
『いいわ。素敵な花畑をこの村の人達が作ってくれるのなら、あなたの友になりましょう。さあ、私に名前をちょうだい』

「……えっと、レーケ。レーケっていうのはどうかな?」

『気に入ったわ! さあ、お前達。新しい巣を作るのよ。私は坊やのお世話をするから』

 坊やはトーリのこととして。お世話をするってどうするのだろう。羽音を立てたレーケの言葉を聞いていたのか、畑にいたメディックビー達が散開していく。
『巣は遠いのか?』

『ええ。それに、坊やにはたっぷりロイヤルゼリーを食べさせないと。かわいそうに、栄養が足りていないわ』

 ちょんちょんとまたもや一本足でトーリの頬をつつく。村長達はトーリにお腹いっぱい食べさせてくれるが、栄養バランスはまだ整っていないかもしれない。ロイヤルゼリーはたしか、滋養強壮とか美容によかったはず。
 トーリに美容は必要ないが、滋養強壮のために分けてくれるのならありがたい話だ。

「レーケは、巣に帰るの?」

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