辺境のちっちゃな捨てられ領主は敵国女帝のお気に入りのようです~転生幼児、最強の家族とスキルを持つ秘密兵器でした~
 たとえば、レーケの群れの蜂達に麻痺毒を作ってもらう。キヴィ達に大地をぼこぼこにするなり穴をあけるなりしてもらえれば、軍隊の動きを制限できる。
 さらにそこにガイスト達が攻撃を加えたなら――軍隊を壊滅させることだってできるだろう。だが、それはやりたくない。
 ガイストの群れに被害を出したくないのだ。直接繋がっているのはガイストだけだけれど、群れのシャドウウルフ達とも仲良しだ。

(……でもさあ、王国領である必要ってあるのかな?)

 たった三十人。本人達の希望でこの地に残っているとはいえ、たった三十人で、この地を開拓してきた人々だ。
 一番近い町まで二日。見捨てられた地と言ってもいいのではないだろうか。もし、皇帝の方がラプハート家よりここで暮らしている人々を大切にしてくれるというのなら。

「……ねえ、村長さん。鞍替えしようって言ったら、あなたはどうする?」
「鞍替え、でございますか?」

 たった三十人の村。これがすべてだったとしても――トーリにとっては大切な人達だ。彼らに余計な被害を出したくない、そう思ったなら。
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