辺境のちっちゃな捨てられ領主は敵国女帝のお気に入りのようです~転生幼児、最強の家族とスキルを持つ秘密兵器でした~
「さっき、僕が言ったことを忘れないでくださいな」
「もちろんだとも」

 足を踏み入れた玄関ホールも広かった。
 床を覆うのは、複雑な模様を織り込んだ敷物である。左右には小さなテーブルが置かれていて、そこには花がいけられていた。その側に倒れているのは、きっと花の世話をしていたメイドだ。

「屋敷にいる者を全員捕らえよ。だが、手荒な真似はするな」

 リュディアは、メイドの方に目をやった。それからそっと彼女の身を起こすと、壁に寄りかかるように座らせてやる。
 リュディアの命令に従った騎士達は、屋敷のあちこちに散っていった。メディックビーの睡眠薬で深い眠りについている屋敷内の人々に抵抗する手段はなかった。
 あっという間に武器は取り上げられ、騎士達は宿舎の一室に、使用人達は別の部屋に。それからグラス公爵とエルマーグ、公爵夫人は公爵が客人に面会するための部屋に集められることになった。

「――陛下!」

 そうしている間に、寝間着姿の小さな女の子を抱えたラウガルトが階段を駆け下りてきた。女の子は目を覚ましていて、ラウガルトの首にしっかりとしがみ付いている。

「娘が見つかりました……!」
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