辺境のちっちゃな捨てられ領主は敵国女帝のお気に入りのようです~転生幼児、最強の家族とスキルを持つ秘密兵器でした~
 たぶん、高くジャンプすることのできる魔術とか、肉体強化魔術とかを使ったのだろう。前世でも、棒高跳びの人は何メートルも飛び上がっていたのだし、なんらかの魔術を使えば、身長の倍の門はあっさり越えられそうな気もする。
 焦った様子のラウガルトは自分だけ行ってしまったので、護衛についていた騎士が敷地の中に入り、内側から門を開いてくれた。

「……さて」

 リュディアは、堂々と馬車から降り立った。今日、ここに来ることを見越して、彼女がまとっているのは騎士服と似たデザインのドレスである。
 赤い地に惜しみなく金の装飾をあしらったそのドレスは、とても美しいものだった。きっと、使われている生地も最上級のもの。リュディアの歩みに従い、裾が緩やかに揺れる。ドレスは美しいが、足元はしっかりとしたブーツで固めている。

「トーリ、そなたもついてこい」
「はい、陛下」

 屋敷の玄関扉は、開け放たれたままだった。ラウガルトは、開いたまま行ってしまったのだろう。屋敷の奥の方から、『エルヴィ!』と叫ぶ声が再び聞こえてきた。

「ラウガルトは、どう出るのだろうな」
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