辺境のちっちゃな捨てられ領主は敵国女帝のお気に入りのようです~転生幼児、最強の家族とスキルを持つ秘密兵器でした~
 身近なところに幼子がいた経験などほとんどないが、見ていて飽きない。それに、作戦を提案する時には、やけに酷薄な表情になる。トーリ自身がそれに気づいているかどうかはわからないけれど。

「私は皇帝だぞ? 使える人材を逃すはずないだろう」
「そんなぁ。これから開拓村で牛を飼ってミルクを絞って、チーズを作ろうと思っていたのに。メディックビーが蜂蜜を分けてくれるから、美味しいお菓子も作れるし。あ、あと岩塩も見つけたし」

 指を立てながらやりたいことを数えているトーリは理解しているのだろうか。その発言一つ一つが、彼を手放せない理由になっているというのに。

「開拓村には、十分な補償をしよう。そのうち里帰りさせてやる」
「えー、あ、ちょっと! ちょっと待ってよ、陛下!」

 手足をばたばたさせるのにもかまわず、ひょいと肩の上に担ぎ上げる。

「ラウガルト、来い! この際だからな、徹底的に膿を出すぞ」
「――はっ」

 エルヴィを助け出したラウガルトは、再びリュディアを真っすぐ見るようになった。
 悪くない。親戚を失ったにしては悪くない結末ではないか。
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