シュガー&シュガー【完】
向葵さんはどこにいても目立つ人だ。なんせ芸能人ばりのオーラを無意識に放つから。
「行っといで。んで、ブッチューかましたれ!」
「ブッチューって、キスのこと?」
「おん。向葵さんは翠の真っ直ぐで素直なところを好きになったんだから」
「嫌がられないかな」
「逆でしょ、絶対。寧ろ止まらないに500票」
「い、行ってくる!!」
「うい」
スマホを確認すれば《カフェの入り口にいる》と追加でメッセージが届いていた。
入り口に向かうと壁にもたれてスマホを眺めている向葵さんがいた。黒のスキニーにゆるっとしたシンプルなパーカーを着ている。相変わらずのスタイル。足が長い。
「あ、向葵さん」
「ダメ元で送ったんだけど来てくれたんだ?」
「友達に背中を押されまして」
「うん?」
「向葵さん、あのですね」
「どーしたの」
———『ブッチューかましたれ!』
「〜〜っ、失礼します!」
足のつま先に目一杯力を入れて、それでも僅かに届かなくて心を折られそうになるもパーカーを掴めば必然的に上半身が倒れ、グッと近くなる顔にドキドキしながら欲しくてたまらなかった唇に触れた。ふわりとした感触。これが向葵さんの唇。