フェイク・シークレット 〜自分を守るために〜
第四章 はなればなれ
間違えた?
「……」
その時、直感的に思った。涼はまだ話してくれないって。
「ごめん、話せない。
今日は帰るね」
ベンチを立って、駅の方に進んでいく涼。
「まっ──────」
手を伸ばしたけど、届かなくて。
私はただただ、寮の背中を見つめることしかできなかった。
あぁ、ダメだ。
私の事棚に上げてるって考えはどうして……。
少しは関係が戻れるかもなんて思ったけど、そんなこと、なくて……。
涼とはどんなふうになっちゃうかな。
未来の事は……苦しくて考えられなかった。
私は馬鹿だ。アホだ。
見えなくなった背中がまだ見えるかもと一点を見つめていた。
涙がぶわっと溢れてきて……。
私は声を抑えて泣いていた。