仮恋愛
*
悲しそうな目線を向けられた月先生の表情が脳裏に浮かんでしまって。
保健室に逃げて午後の授業は受けられずじまいの昼休み。
誰もいない保健室に、一人杏ちゃんがやって来た。
何も訊ねることもないまま、隣りに座る杏ちゃん。
それが居心地が良くて、私はふと。
「先生の気持ちがわからない……私を遠ざけても私の気持ちは変わらないのに」と呟いてた。
杏ちゃんは私の頭を撫でて、肩を寄せてくれた。
そして、微笑んでこういった。
「それだけアンタのことを大切に思いたかったんだよ」と。
「大切にって?」
「お前をーー他の男と幸せになってほしかったんだと思うぜ?
だって、相手は10歳以上年上だろ?
気にするのも無理ないって
それにーーお前をいじめから守れなかった的な罪悪感があるんだと思うぜ?」
と、背かなを軽く杏ちゃんに叩かれた。
「杏ちゃん……私、素直になってもいいんだよね?
気持ちーー伝えるしか無いんだよね?」
「ぶつかってきな。
こうゆう時は、行動あるのみだぜ?」と私の背中を押す。
気づいたときには、指導室に足を運んでいて扉を開けて息が上がってた。
「先生、やっぱり付き合ってよ!!凛には負けないから!!」
と、自分の気持ちを素直に伝えるしか無い。
私は、そうゆう生き物だ。
不器用に、真っ直ぐに。
ただ、進むのみ。
月先生は呆れたと思ったら、微笑んだ。
「お前が無事に、卒業したらだ。
それまではお前の傍に大人としてずっといてやるから、少し黙ってろ」と話して私を愛おしげに見つめたと思ったらーーバインダーでペチリ。
「お前が、大人になるまでみっちり勉強も教えてやるからーー覚悟しろよ」
とも言われて、「最悪だけど、最高だよ!!
月先生!!」
と笑って、私は先生に抱きついた。
fin


