その黒曜、あまりに気高く、あまりに最狂

最狂と最狂

ドンッ!!!地下格闘技場のリングが、激しい衝撃音とともに大きく揺れた。

神代の放った凄まじい重さの右ストレートが、レイの顔面を紙一重でかすめ、背後のロープを軋ませる。

(……速い、ですね)

レイは流れるような身のこなしでバックステップを踏み、距離を取った

いつもなら最小限の動きで敵を沈めてきた彼女の、

白のカッターシャツの袖が少し擦れ、額にはうっすらと汗が浮かんでいる

初代総長が「黒曜を殺すため」だけに用意した二代目・神代の実力は、

これまでの雑魚とは文字通り桁が違っていた

「ハハッ! さすが黒曜の総長、今のを避けるかよ!」

神代は黒シャツを大きくはだけさせ、狂気的な三白眼をギラつかせて再び踏み込んでくる

「だけどよ、守ってばっかで俺の隣に収まる覚悟は決まったか!?」

神代の容赦ない前蹴りが、レイの腹部へと迫る

レイはそれを左腕で受け流そうとしたが、あまりの衝撃に足元がわずかに滑り、コンクリートのリング上に鈍い衝撃が走った

「レイさん……っ!!」

リング下で見守る多久が、恐怖で喉を鳴らして叫ぶ

蓮が「テめぇ、レイさんに触んじゃねえ!」とロープに手をかけたが、一ノ瀬がその肩を強く掴んで止めた

「待ちなさい、蓮。これは総長のタイマンです。私たちが手を出せば、黒曜の、ひいてはレイさんの品格を汚すことになります」

一ノ瀬の眼鏡の奥の目は、かつてないほど鋭く冷え切っていた

その隣で、颯太はいつものチャラさを完全に消し去り、

拳を血がにじむほど強く握りしめてタメ口で呟く

「……大丈夫だよ。俺たちの総長が、あんな操り人形に負けるわけないじゃん」

リング上。神代の猛攻を浴びながらも、レイの瞳から気高き輝きは一切消えていなかった。
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