【完】その黒曜、あまりに気高く、あまりに最狂
腰まである黒髪が、柔らかな潮風にふわりと遊んでいる


彼女は缶コーヒーを開けると、上品に口をつけた。


「そうですね。明日は少し、騒がしい夜になりますから。こうして心を落ち着かせておくのも悪くありません」


いつもと変わらない、丁寧な敬語。


だけど、颯太は隣に立つ彼女の細い肩が、少しだけいつもより小さく見えた気がした。


颯太はふっと真面目な顔になり、海を見つめたまま語りかける


「……ねえ、レイ。昨日の集会の演説、マジでカッコよかったよ。下の奴ら、みんな泣きそうな顔してレイさんに魂預けてた。……でもさ、ちょっと背負いすぎじゃない? 命まで寄こせとは言わない、なんて格好つけてさ」


颯太の心配するような、相棒としての優しいタメ口


それを聞いたレイは、ふっと自嘲気味に口元を緩め、夜の海へ視線を落とした。


そして、胸の奥にある孤独を隠すように、静かに、でも冷たい声音で言い放った。


「冷たい人間だと思われてる方が楽なんで。期待されるほどの優しさは持ち合わせていないので」
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