はじまりは、再会の後から 〜二人のイケメンからプロポーズされて困惑しています〜
しかし、千雪の思考は、そう簡単にお菓子のことへと切り替えられるものではなかった。

「翔也くん、ありがとう。でも、ごめんね。私……まだ誰とも結婚とか考えられないよ」

「うん、何も言わなくていいよ。八奈見くんともライバル続行だ」

「翔也くん……」

「結婚は、考えられないんだよね?僕はまだ振られた訳じゃないよね?」

翔也は伺うように千雪に訴えた。昔のトラウマがフラッシュバックする。

両親が言い合いをしていた時。翔也を置いて母親がフランスへ帰ると言った時。高校受験を目の前にして転校すると決まった時。そして、愛子にお見合い話があると知った時。

本当は、翔也はその時々で自分の気持ちをぶつけたかった。あの時も、今のように正直でいられたら、何かが変わっていたのだろうか。

「僕の側に居てよ。離れるなんて嫌だよ。ちぃは僕を見捨てないでよ」

心からの翔也の言葉が、千雪に突き刺さる。

「そんな、見捨てるなんて……」
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