はじまりは、再会の後から 〜二人のイケメンからプロポーズされて困惑しています〜
千雪の言葉を聞いた翔也は、悲しげに笑った。

「僕にとっては、結婚出来なきゃ意味ないんだよね」

しんと、静まり返ったティエドゥールの店内にフレンチジャズのゆったりしたメロディだけが流れている。

この場の空気に耐えられず、千雪は勢いよく立ち上がった。

「結婚て。これ以上話しても平行線だよ。こんな話をされるとは思っていなかったから。ごめんなさい、どうしていいのか分からない。……今日はこれで帰らせてください」

千雪にとって今日は、ティエドゥールを貸し切って、楽しいお茶会の予定だった。しかし、哲平が同席したのを皮切りに、あれよあれよという間にこんなことになってしまったのだ。

全く想像していなかったプロポーズ合戦まで始まり、執着と独占欲がこの場を支配した。本来なら嬉しいはずの愛の言葉が、今は息苦しい。

「ごめん。ちぃを悩ませるつもりじゃなかったんだ。帰らないで」

咄嗟に千雪の手を握った翔也は、椅子に座ったまま千雪を見上げた。
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