はじまりは、再会の後から 〜二人のイケメンからプロポーズされて困惑しています〜
「瀬戸さん、はじめまして。僕、弁護士の渡辺春人(わたなべ はると)と申します。梨乃を迎えに来たんですけど……まだ社内ですか?」

青年の正体は、梨乃のアニオタ彼氏だった。こんな所で会えるとは。

「えぇ!はじめまして!瀬戸です。この度はお世話になりまして、何とお礼を言っていいか。ありがとうございます」

千雪は、何度も何度も頭を下げた。その姿に恐縮しながら、春人は苦笑いで待っている。

「……あぁ、すみません。浅田ちゃんですよね。まだ来ていません。着替えるので先に出てくださいって言われたんです」

「そうですか」

この空気の中、のほほんとした空気を作り出せる春人は大物だ。息苦しかった千雪の呼吸が、春人の登場で一気に和らいだ。なんと良いタイミングで来てくれたのだろう。感謝である。

一方で、置き去りにされた清香は面白くない。春人へ向かって怒りを顕にした。

「ちょっと!何なの!用があるならそっちに行きなさいよ!」

「はい。僕もそうしたいのですが。まだ梨乃が……」

そわそわしながら答えた春人は、言葉を飲み込んだ。清香の表情に気づいたからだ。

「私はまだ、二人に伝えたいことがあるの!お願いだから邪魔しないで!」

強がっていても涙声は隠せない。清香は自分を追い詰める春人を睨んだ。
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