はじまりは、再会の後から 〜二人のイケメンからプロポーズされて困惑しています〜
千雪が席に着くと、翔也は珈琲を淹れに一旦厨房へ下がった。翔也が見えなくなると、千雪は椅子の背もたれに寄りかかり、大きく息を吐き出した。

(何でこんなに緊張してるんだろ。意識しすぎだぞ、私!)

その時、ドリップした珈琲の薫りがふわりと漂ってきた。立ち上る薫りだけでそれが美味しいと分かる。目の前には可愛くデコレートされたお菓子が数種類置かれていて、目でも楽しめた。

(あぁ、翔也くんだ。優しくて大好きな、私の翔也くんだ。あの頃のままだ)

『ちぃ、ジュースどうぞ。お菓子もあるから食べてね』

昔のそんな翔也の言葉が思い浮かんで、千雪は懐かしさが込み上げた。目を瞑り思い出に浸っていると、翔也が淹れたての珈琲を持って戻ってきた。
< 80 / 172 >

この作品をシェア

pagetop