藤堂彬の誤算だらけの結婚生活
一方で彬の方も、大人気ない。バチバチと火花が散っているふたりの間に、よいしょと割って入っていると、男女が近寄ってくる。
「よう、藤堂! おめ〜」
「藤堂くんおめでとう」
男性の方はすでに会ったことがある三橋というドクターだ。話上手なので藍は結構好きだ。
「藍、紹介するよ。濱中さん。院時代の先輩」
「はじめまして。お招きありがとうございます。まー可愛い! 藤堂くんがメロメロになるなんてどんな方かと思っていたけど、想像以上! 仲良くしましょうねー。昔の藤堂くんのエピソード教えてあげる。あんなこととかこんなこととか」
濱中は快活に挨拶をする。
「はい! ぜひ」
かっこいい女性が好きな藍にとっては嬉しい出会いだが、彬は渋い顔をした。
「先輩……妻に変なこと言わないでくださいよ」
「私は事実しか言わないわ。それに結婚生活のアドバイスもしてあげる」
そう言って彼女は藍に向かってにっこりと笑う。
藍もニコニコしていると、三橋がブーっと噴いた。
「なんのアドバイス……!」
「三橋くん? なんか言った?」
そして濱中にヘッドロックをかまされて、ギブギブと言っている。
やれやれというように彬は肩をすくめるが、藍は笑いが止まらなかった。
見上げると雲ひとつない青い空。まるで自分を祝福してくれるかのようだ。こんな風に笑って新しい一歩を踏み出せるのが奇跡みたいだ。
恋も知らないまま人生を終える覚悟をしていたのに。
それもこれも、ここにいる大切な人たちのおかげなのだ……。
……そして。
隣の彬をちらりと見ると、優しい眼差しが返ってくる。
彼と出会えたことが、一番の幸運だった。
この幸せを絶対に離さないと藍は誓う。
そしてそれはそう難しくないと思う。
——彼と一緒なら。
視線を合わせてふふっと笑うと、なぜか彬が目を見開く。
そして唐突に、藍の頬にちゅっと音を立ててキスをした。
「ひゃっ⁉︎ い、いきなりどうしたんですか⁉︎」
びっくりして声をあげると、なぜか本人も驚いている。
「い、いや……なんだろう? 突然どうしてもしたくなって気がついたら……」
三橋と濱中が爆笑し、弥は渋い表情だ。
彬側の招待客にざわざわざわと動揺が走っている。
「旦那さん、メロメロじゃん!」
陽菜に肘で突かれながら、藍は真っ赤になってしまう。
「ご、ごめん……」
「だ、大丈夫です……!」
謝る彬も珍しいのか、ざわめきがさらに大きくなった。
「こんなに人を変える愛の力ってまじなんなの⁉︎ 誰かメカニズム研究して〜!」
三橋が声をあげると、どっと笑いが起こった。
彬が困ったように咳払いをして、藍はくすくすと笑った。
了
「よう、藤堂! おめ〜」
「藤堂くんおめでとう」
男性の方はすでに会ったことがある三橋というドクターだ。話上手なので藍は結構好きだ。
「藍、紹介するよ。濱中さん。院時代の先輩」
「はじめまして。お招きありがとうございます。まー可愛い! 藤堂くんがメロメロになるなんてどんな方かと思っていたけど、想像以上! 仲良くしましょうねー。昔の藤堂くんのエピソード教えてあげる。あんなこととかこんなこととか」
濱中は快活に挨拶をする。
「はい! ぜひ」
かっこいい女性が好きな藍にとっては嬉しい出会いだが、彬は渋い顔をした。
「先輩……妻に変なこと言わないでくださいよ」
「私は事実しか言わないわ。それに結婚生活のアドバイスもしてあげる」
そう言って彼女は藍に向かってにっこりと笑う。
藍もニコニコしていると、三橋がブーっと噴いた。
「なんのアドバイス……!」
「三橋くん? なんか言った?」
そして濱中にヘッドロックをかまされて、ギブギブと言っている。
やれやれというように彬は肩をすくめるが、藍は笑いが止まらなかった。
見上げると雲ひとつない青い空。まるで自分を祝福してくれるかのようだ。こんな風に笑って新しい一歩を踏み出せるのが奇跡みたいだ。
恋も知らないまま人生を終える覚悟をしていたのに。
それもこれも、ここにいる大切な人たちのおかげなのだ……。
……そして。
隣の彬をちらりと見ると、優しい眼差しが返ってくる。
彼と出会えたことが、一番の幸運だった。
この幸せを絶対に離さないと藍は誓う。
そしてそれはそう難しくないと思う。
——彼と一緒なら。
視線を合わせてふふっと笑うと、なぜか彬が目を見開く。
そして唐突に、藍の頬にちゅっと音を立ててキスをした。
「ひゃっ⁉︎ い、いきなりどうしたんですか⁉︎」
びっくりして声をあげると、なぜか本人も驚いている。
「い、いや……なんだろう? 突然どうしてもしたくなって気がついたら……」
三橋と濱中が爆笑し、弥は渋い表情だ。
彬側の招待客にざわざわざわと動揺が走っている。
「旦那さん、メロメロじゃん!」
陽菜に肘で突かれながら、藍は真っ赤になってしまう。
「ご、ごめん……」
「だ、大丈夫です……!」
謝る彬も珍しいのか、ざわめきがさらに大きくなった。
「こんなに人を変える愛の力ってまじなんなの⁉︎ 誰かメカニズム研究して〜!」
三橋が声をあげると、どっと笑いが起こった。
彬が困ったように咳払いをして、藍はくすくすと笑った。
了

