藤堂彬の誤算だらけの結婚生活
「え、そうなの⁉︎」
柔らかな日差しが差し込むリビングに親友の陽菜の声が響く。
「藍がついに王子さまと出会えたんだと思ってたのに……」
シュガーを入れた紅茶のカップをスプーンでかき混ぜながら、藍は頷いた。
「期待に応えられなくてごめんね」
十一月のはじめにしては暖かいこの日、藍は自宅に友人ふたりを招いた。
藤堂と暮らす新居である。
ソファの藍の隣に座って持ってきたケーキを食べながら残念そうに言うのは陽菜(はるな)、向かいで紅茶を飲んでいるのは弥(わたる)である。
三人は幼稚園からの幼なじみである。
通っていたミッション系の幼稚園はエスカレーター式に女子大まであるので、陽菜とはずっと一緒。弥は外部の大学へ行ったが、定期的に会っている。
入退院を繰り返し、新しい出会いがなかなかなくて人間関係が狭まりがちな藍にとって貴重な友達である。
新居は都内にある一軒家。古いけれどしっかりとした作りで中は最新の設備に改装されている。藤堂が祖父から相続した物件らしく、勤務先の白川医科大への通勤にも便利な場所にあるため、彼はここにひとりで住んでいた。
結婚にあたり藍が引っ越してきたのだ。
ひとり暮らしには広すぎるし、ふたり暮らしでも部屋が余るが、そこは本当の夫婦ではないふたりにとっては好都合。広いからこそお互いの存在を気にせずに生活できる。
父は新居を用意したかったようだが断りここへ引っ越してきた。なにしろ、駅まで徒歩圏内で便利なのだ。
車の免許がない藍が外出を楽しむにはもってこい。
藤堂からは、自分はほとんど家に帰らないから、好きにしていいと言われている。事前に伝えておけば来客も自由、彼自身が帰る際は連絡が入る。
柔らかな日差しが差し込むリビングに親友の陽菜の声が響く。
「藍がついに王子さまと出会えたんだと思ってたのに……」
シュガーを入れた紅茶のカップをスプーンでかき混ぜながら、藍は頷いた。
「期待に応えられなくてごめんね」
十一月のはじめにしては暖かいこの日、藍は自宅に友人ふたりを招いた。
藤堂と暮らす新居である。
ソファの藍の隣に座って持ってきたケーキを食べながら残念そうに言うのは陽菜(はるな)、向かいで紅茶を飲んでいるのは弥(わたる)である。
三人は幼稚園からの幼なじみである。
通っていたミッション系の幼稚園はエスカレーター式に女子大まであるので、陽菜とはずっと一緒。弥は外部の大学へ行ったが、定期的に会っている。
入退院を繰り返し、新しい出会いがなかなかなくて人間関係が狭まりがちな藍にとって貴重な友達である。
新居は都内にある一軒家。古いけれどしっかりとした作りで中は最新の設備に改装されている。藤堂が祖父から相続した物件らしく、勤務先の白川医科大への通勤にも便利な場所にあるため、彼はここにひとりで住んでいた。
結婚にあたり藍が引っ越してきたのだ。
ひとり暮らしには広すぎるし、ふたり暮らしでも部屋が余るが、そこは本当の夫婦ではないふたりにとっては好都合。広いからこそお互いの存在を気にせずに生活できる。
父は新居を用意したかったようだが断りここへ引っ越してきた。なにしろ、駅まで徒歩圏内で便利なのだ。
車の免許がない藍が外出を楽しむにはもってこい。
藤堂からは、自分はほとんど家に帰らないから、好きにしていいと言われている。事前に伝えておけば来客も自由、彼自身が帰る際は連絡が入る。