藤堂彬の誤算だらけの結婚生活
もうこれで最低限の義務は果たした。十五分以上時間を無駄にしてしまっているので、早々に離脱しなくては。
「じゃあ、頑張って」
「ありがとうございました〜!」
正直なところシチューが無事に出来上がるとは思わないが、それは自分の知ったことではない。
……知ったことではないのだが。
嬉々として皮を剥いている藍が三本目を手にしたところでストップをかけた。
「ま、待て。……そんなに人参は必要か?」
「へ? ……あ、確かに。こんなにいらないか。できるようになって嬉しくてつい」
そう言って藍はケラケラと笑っている。
思わず彬はため息をついた。
無茶苦茶だ。
楽しそうなのはなによりだが、このまま彼女の行動を見過ごすわけにはいかなかった。この調子で、彼女が肉を切り火を使うと思うと背筋が寒くなる。
「率直に言わせてもらうがこのまま君がひとりで料理をするのは許可できない。あまりにも危なっかしすぎる。そもそもシチューは初心者がひとりで挑戦するべき料理ではない」
すると彼女の顔から笑顔が消えた。
「……そう、ですか……」
瞬きをしてしょんぼりとする。人参の皮剥きをしていた時のキラキラとした目の輝きが失われていく様子に、どうしてか彬の胸がズキズキと痛んだ。
——いやいや、どう考えてもそう判断せざるを得ないだろ。それなのに、なんだこの罪悪感は?
「じゃあ、頑張って」
「ありがとうございました〜!」
正直なところシチューが無事に出来上がるとは思わないが、それは自分の知ったことではない。
……知ったことではないのだが。
嬉々として皮を剥いている藍が三本目を手にしたところでストップをかけた。
「ま、待て。……そんなに人参は必要か?」
「へ? ……あ、確かに。こんなにいらないか。できるようになって嬉しくてつい」
そう言って藍はケラケラと笑っている。
思わず彬はため息をついた。
無茶苦茶だ。
楽しそうなのはなによりだが、このまま彼女の行動を見過ごすわけにはいかなかった。この調子で、彼女が肉を切り火を使うと思うと背筋が寒くなる。
「率直に言わせてもらうがこのまま君がひとりで料理をするのは許可できない。あまりにも危なっかしすぎる。そもそもシチューは初心者がひとりで挑戦するべき料理ではない」
すると彼女の顔から笑顔が消えた。
「……そう、ですか……」
瞬きをしてしょんぼりとする。人参の皮剥きをしていた時のキラキラとした目の輝きが失われていく様子に、どうしてか彬の胸がズキズキと痛んだ。
——いやいや、どう考えてもそう判断せざるを得ないだろ。それなのに、なんだこの罪悪感は?