藤堂彬の誤算だらけの結婚生活
「大須賀さん、そろそろお昼休憩……。わあそれ全部やったの?」
大学図書館の職員に声をかけられて、背の高い書架に本をしまっていた藍は振り返る。
「はい」
答えると職員が満足そうに頷いた。
「わー助かる。ありがたいわー。だけど無理して急がなくてもいいからね。ゆっくりやってくれてもいいから」
「はい。あ、じゃあ私お昼行って来ますね」
藍は空になったカートを押して本棚の間を進みバックヤードに向かう。カートを返して休憩室へ行くと陽菜がいた。
「藍、今からお昼でしょ、私もなんだ。一緒に行こう」
ふたり連れ立って食堂に向かった。
今日は待ちに待ったボランティア初日だ。
藍は張り切って朝から電車に乗ってやってきた。
作業はさほど難しくなく、返却のあった書物を棚に戻していくという単純作業。簡単なレクチャーを受けた後は、ひとりもくもくと作業している。
客観的に考えると地味な仕事だが、午前中いっぱい働いた藍の胸は充実感に満たされていた。
誰かの役に立つというのがはじめての経験だからだ。
『助かる』なんて言われたことは今までほとんどなかったし、むしろ周りに助けられてばかりだったのだから。
たとえば誰かになにかをしてあげたくても体調を崩しては迷惑になる。
この身体ではなにもしないことが皆のためになると心得ていた。それはとても情けないことだけど仕方がないし、そう思うことでなにもできない自分を慰めていもいた。
けれどこのボランティア作業は、正真正銘誰かの役に立っているのだ。
職員も利用できる大学の食堂は学生時代陽菜と一緒に来た思い出の場所だ。
「陽菜と食堂に来ると学生に戻ったみたい。まあ私はほとんど通信課程だったんだけど」
それも体調との兼ね合いで、今年やっと卒業できた。
大学図書館の職員に声をかけられて、背の高い書架に本をしまっていた藍は振り返る。
「はい」
答えると職員が満足そうに頷いた。
「わー助かる。ありがたいわー。だけど無理して急がなくてもいいからね。ゆっくりやってくれてもいいから」
「はい。あ、じゃあ私お昼行って来ますね」
藍は空になったカートを押して本棚の間を進みバックヤードに向かう。カートを返して休憩室へ行くと陽菜がいた。
「藍、今からお昼でしょ、私もなんだ。一緒に行こう」
ふたり連れ立って食堂に向かった。
今日は待ちに待ったボランティア初日だ。
藍は張り切って朝から電車に乗ってやってきた。
作業はさほど難しくなく、返却のあった書物を棚に戻していくという単純作業。簡単なレクチャーを受けた後は、ひとりもくもくと作業している。
客観的に考えると地味な仕事だが、午前中いっぱい働いた藍の胸は充実感に満たされていた。
誰かの役に立つというのがはじめての経験だからだ。
『助かる』なんて言われたことは今までほとんどなかったし、むしろ周りに助けられてばかりだったのだから。
たとえば誰かになにかをしてあげたくても体調を崩しては迷惑になる。
この身体ではなにもしないことが皆のためになると心得ていた。それはとても情けないことだけど仕方がないし、そう思うことでなにもできない自分を慰めていもいた。
けれどこのボランティア作業は、正真正銘誰かの役に立っているのだ。
職員も利用できる大学の食堂は学生時代陽菜と一緒に来た思い出の場所だ。
「陽菜と食堂に来ると学生に戻ったみたい。まあ私はほとんど通信課程だったんだけど」
それも体調との兼ね合いで、今年やっと卒業できた。