キミが家族になった、その日から。
──涼は夏音の手首をそっと掴む。
「え?」
「人多いから」
──繋ぐわけじゃない。離れないように軽く掴んでいるだけ。
それだけなのに、夏音の鼓動は速くなる。
「痛い?」
「ううん」
「ならよかった。」
屋台を歩いていると、りんご飴を見つける。
「食べる?」
「え?」
「好きだっただろ」
「なんで知ってるの?」
「この前スーパーで見てた。」
覚えていてくれていたんだ。そんな小さなことが嬉しかった。
花火が始まる──。夜空いっぱいに大輪の花が咲く。
「きれい……。」
夏音が見上げる横で、涼は花火ではなく夏音を見ていた。
「…笑ってる」
──家で見せる笑顔とも違う。心から楽しそうに笑う夏音。