キミが家族になった、その日から。
第2章
夏祭りの約束
「今年の夏祭り、一緒に行かない?」
昼休み、美優に誘われた夏音は、友達みんなで行く約束をする。
──帰宅すると、お母さんが嬉しそうに笑った。
「そういえば、涼も友達と夏祭りに行くらしいわよ。」
「へぇ……。」
いつのまにか、涼くん呼びだった名前が呼び捨てになってるし、誰と夏祭り行くんだろう…
──別に気にならない。誰と行こうが、何しようが……
そう思ったはずなのに、胸が少しだけざわついた。
そして夏祭り当日。
浴衣姿の人たちで賑わう神社。
夏音は水色の浴衣を着て、美優たちと屋台を回っていた。
「夏音、その浴衣かわいい!」
「ふふ、ありがとう!美優もかわいい」
笑い合っていると、美優が急に腕を掴んだ。
「あっ、柴崎くん!」
視線の先には、黒い浴衣姿の涼がいた。
普段の制服とは違う雰囲気に、夏音は思わず見とれる。
黒色の浴衣なんだ、てか浴衣着るんだ…かっこいい
でも涼の隣には、クラスの女子がいた。
楽しそうに話している。
その姿を見た瞬間、胸が締めつけられる。
「夏音?」
「……ちょっと飲み物買ってくる。」
そう言いその場を離れた。好きな人のあんな楽しそうに笑ってる姿なんか見たくなかった、あのまま見ていたら心が壊れそうな気がして。
──そうして逃げるように歩き人混みの中を歩いていると、突然誰かとぶつかる。
「あっ、ごめんなさい!」
──顔を上げると、涼だった。
「夏音?」
「……」
「友達は?」
「はぐれちゃった。」
涼はため息をつく。
「迷子か。」
「迷子じゃないし。」
「スマホは?」
「電池切れ。」
「……」
涼は呆れたように笑う。
「ほんと放っておけない。」
その一言に、夏音の心臓が跳ねた。
「──来い。」