結婚したくないはずの俺様社長に、成婚を強行されました
 真剣交際に発展するのは、文字通り〝この人との結婚を真剣に考えたい〟と覚悟が決まったタイミングだ。一対一の関係で、正式に恋人の位置づけになる。他の人とのお見合いも、交際も認められない。

 ふたりの間で気持ちを伝え合うケースも多いが、最終的にはお互いのカウンセラーを通じて真剣交際に進みたいと伝え、正式に手続きを踏む。

 もちろん、自分たちは普通の婚活ではないから、当てはまらないのは承知している。しかし、少なくとも男性に妙な圧を掛けられてその場で押し切られるものではない。

(もしかしたら、迅さんは名目上だとしても自分の交際相手が他の男性と親しくしたりするは、プライドが許さないのかな)

 困惑のなかで思考を巡らせていると、迅がこちらに軽く身を乗り出す気配がした。

 覆いかぶさるようにされて、整った顔がすぐ目の前で止まる。

「え……」

 吐息が触れてしまいそうな距離と、ジャケット越しの香りに、頭の中がますます混乱する。

「――もう、他の男とふたりきりになるな」

 その声を聞いた途端、透子の胸は自分でも驚くほど大きな音を立てた。
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