結婚したくないはずの俺様社長に、成婚を強行されました
『お母さんはね。迅に幸せな家庭を持ってほしいのよ。あなたが私たちのような政略結婚をしたくないのはわかってるわ。しがらみが嫌なら自分でいい人をさがせばいいじゃない』

 いわゆるセレブ向け婚活を手掛けている結婚相談所の存在を友人から聞いた母は、すぐに所長と面会し、迅を託してしまったらしい。

『結婚相談所なんて、縁談と変わらないじゃないですか。そんなことに時間を取られたくない。お断りします』

 迅がはっきり断ったにも関わらず、母は一歩も引かなかった。

『そう。もし無視するなら、あなたの嫌がりそうな見合いを毎週設定してやるから』

 おどろくほど頑固な母に根負けし、迅は相談所に話を聞きに行く約束をするはめになった。

 初めてマリアージュ・アクシアに足を向けたのはそれから数日後だ。母が指定した時間にしぶしぶ尋ねると、若いカウンセラーが迅を出迎えた。

『本日は、お越しいただきありがとうございます』

 落ちつた笑顔で、差し出してきた名刺には〝カウンセラー・持田透子〟と書かれていた。
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