結婚したくないはずの俺様社長に、成婚を強行されました
「しかし、よく母さんの言うことを聞いたな。まぁ、兄さんなら、時間稼ぎに利用してもおかしくないけど」

「さすが、するどいな」

「冗談のつもりだったんだが、本当なのか?」

 目を丸くした恭弥に向かって、迅は片眉を上げて苦笑した。

 弟の指摘通り、迅は結婚をしたくないから、婚活を始めたに過ぎなかった。
 
『結婚相談所で、結婚相手を見つけなさい』

 数か月前、呼びつけられた実家で母にこう告げられ、迅は耳を疑った。

 元々迅に申し込まれる縁談は少なくなかった。なんとか断ってこれたのは『今は経営を学ぶのを最優先にしたいので』ともっともらしい理由をつけて父を納得させていたからだ。

 社長になってさらに増えた縁談は、さばき切れないほどになっていた。迅は母にその管理を任せ、すべて断ってもらっていた。息子が結婚に対して冷めているのを察していた母は、息子の意思を尊重し、『その気になったら教えて』と半ば諦めていた。

 しかし母は、父の一周忌を過ぎたころから『そろそろ、真面目に結婚を考えなさい』と言い始めた。それでも、迅がなにかと理由をつけて交わし続けた結果、強硬手段に出られたのだ。
< 135 / 247 >

この作品をシェア

pagetop