結婚したくないはずの俺様社長に、成婚を強行されました
『実際に結婚相談所のシステムで婚活を体験できるのは、君のような仕事熱心なカウンセラーにとってまたとない機会じゃないのか』

 仕事を餌に誘惑すると、明らかに揺れたものの、透子はそれでも首を縦に振らない。

(仕方ない、強硬手段にでるか)

『うっかり口を滑らせるかもしれないな。婚活界の魔女の娘に、MSBの社長は視野が狭くて、頭が固くて、性格が悪い――そう言われた、と』
 軽く脅しを入れると、透子は悔しそうな視線を返してきた。

(これは、卑怯者だと思われているな。どう取り込むか)

 透子のやりとりが楽しいと感じるのは自分の性格が悪いせいだろうか。そんなふうに思っていると、タイミングよく彼女の母、持田紀代子がカウンセリング室に挨拶に来た。

 その瞬間、迅は紀代子を取り込む作戦に切り替え、成功した。

 透子は唖然としていたが、紀代子を懐柔した時点でこちらの勝ちだった。

『真壁様が、きちんと婚活のプロセスを踏むと約束してくださるのなら、交際させていただきます』

 透子はなおも悔しさを滲ませていたが、難航していた交渉がまとまった瞬間のように気分がよかった。
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