結婚したくないはずの俺様社長に、成婚を強行されました
 母がアルバイト先の飲食店で客として知り合った父と結婚したのは二十一のとき、大学卒業前だった。

 父は母より九つ年上の大手金融会社のサラリーマン。父は母の若さと美しさに、母は父の上昇志向や男らしさに強く惹かれたようだ。父も母も、交際相手がいたらしいがすぐに別れて付き合い始めたらしい。
 父に夢中になっていた母は、まだ若いと周囲が反対するのを無視しスピード結婚、翌年透子を出産する。

 しかし、ふたりの関係が良かったのは、ごく最初だけだった。
 一時の熱に浮かされるように始まった関係は、時間が経つにつれて少しずつ冷めていき、やがて互いの欠点ばかりが目につくようになった。

 父は出世への野心が強い人で、仕事ばかりして家庭を顧みなかった。母が不満を漏らしても、家族のために働いているのだから文句を言うなと、と聞く耳を持たなかった。

 母は育児に苦労しながら透子を育てたが、成長してくると自分も外で働きたいと思うようになったらしい。
 しかし父は、自分が稼いでいるのだから妻が働く必要はないと一方的に決めつけた。
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