結婚したくないはずの俺様社長に、成婚を強行されました
 透子の中でいつしか〝恋愛〟は厄介だという認識が出来上がっていく。

 今考えれば、大恋愛の末に結婚し、そのまま幸せな関係の人はいくらでもいる。しかし、素直な性格の透子は母の影響をしっかり受けた。

 どんなに燃え上がっても、恋愛感情はいつか冷め、その後はなにも残らない。むしろ好きだった分、憎しみさえ生まれ、〝あんなに好きだったのに〟と涙を流すことになるのだ。

 しかし、恋愛に冷めている女子というのは少々生きづらい。

 小中学校では、女子には全員好きな男の子がいるという謎の空気があった。よくクラスメイトから『透子ちゃんの好きな人は誰?』と恋バナを振られたが、答えようがなくずっと『今はいないなぁ』と濁し続けていた。

 男性を好きになるという感覚が、どうしても自分の中で見つからないまま成長していく。

 そのうち容姿を褒められることが増えた。高校や大学では同級生や先輩から告白されたこともあるが、すべてお断りしていた。

 相手を好きになれる気がしないのに、付き合うのは不誠実だと思ったのだ。
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