結婚したくないはずの俺様社長に、成婚を強行されました
「ああ、君のように結婚に恋愛感情は必要ないと言い切るドライな女性なら、仮に俺に惚れても、結婚できるなんて勘違いはしないだろう?」

 迅はゆったりと口の端を上げ、透子に視線を向ける。

(……もしかして、この人、自分が惚れられる前提で話してる?)

 あまりにも自信満々な言動に、透子は目を瞬かせた。

「さっさと実績を作って退会したい。ああ、もちろん実際には結婚するわけじゃない。成婚退会しても、婚姻届けを出す前に破局するカップルだっているはずだ」

 〝成婚退会〟とは結婚して退会する意味ではない。あくまで、お互いが結婚の意思を固めて結婚相談所での活動を終えることを指す。実際に婚姻届けを出すのは退会後、それぞれのタイミングになる。

「……そういうケースはあります」

 言葉にした瞬間、胸の奥がちくりと痛んだ。透子の心にしこりとして残っているあの女性も、まさに結婚直前で破局している。

「だったら、俺たちも退会後すれ違ってしまったことにすればいい。理由はうまく考える」

 暗い記憶に思考を引っ張られかけた透子は、ハッと顔を上げた。

(まずい! 勝手に話が進んでいく)
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