結婚したくないはずの俺様社長に、成婚を強行されました
「ちょっと待ってください。たとえふりだとしても、カウンセラーがお客様と交際するなんて、ありえませんし、あってはいけません。うちの評判に関わります」

 言いたいことが渋滞しているが、まずは一番大事なことをはっきり主張する。

「バレなければいいだろう」

「バレなければ……?」

 ちょっとした悪戯を隠すくらいの口調が返ってきて、透子は目を丸くする。

「君が説明してくれたじゃないか。ヴェールプランは特に情報管理が徹底していているから、会誰と誰がマッチングされているかも所長と担当カウンセラーを除いて一切知られないようになっているんだろう」

「そ、その通りですが」

「当然、俺が君と交際していることも知られない。だからなんの問題もない。俺は母にここで真面目に活動していることをアピールできればいいだけだ」

(さっき私の説明を聞きながら、こんなことを企んでいたの?)

 迅の頭の回転の速さに驚かされる。だが、こんな面倒な話に巻き込まれる筋合いはない。いくら情報統制されているとはいえ、リスクが大きすぎる。

「真壁様にご事情があるのはわかりましたが、引き受けかねます」
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