結婚したくないはずの俺様社長に、成婚を強行されました
 急にどうしたのだろうと目を瞬かせていると、彼女は上品な笑顔を浮かべた。

「真壁様、お越しいただきありがとうございます。所長の持田紀代子です。先日は、弊社のカウンセラーが失礼をいたしました。今日のご案内はいかがでしたでしょうか」

 母には二回目のカウンセリングが今日だと報告していたので、透子のフォローのためにここに足を運んだようだ。

「透子さんのお母さんですね。いいところに」

 迅は、スッと立ち上がり、母に一歩近づいた。

「真壁迅です。婚活界の魔女と称えられる方にお目にかかれて、うれしいです。透子さんが美しいのは、お母さん譲りなんですね」
 迅は先ほどまでの人を試すような表情とは全く違う、紳士的な笑みを母に向けた。

「……恐縮ですわ。私も、MSBの若きカリスマ経営者の真壁様にお会いできて光栄です」

 やけに友好的で、しかも透子を名前で呼ぶ迅に違和感を覚えたのか、母は笑顔を崩さないまま、さりげなく透子に視線を向けた。顔には〝どういうこと?〟と書いてある。

「所長、あの……」
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