結婚したくないはずの俺様社長に、成婚を強行されました
 やはり、初回デートは気楽に話せる昼間のカフェがふさわしいと、身をもって知れたのは収穫かもしれない。

 そんなことを考えていると、向かい側で迅がふっと笑った。

「ずいぶん緊張しているな」

「……そんなにわかりやすいですか?」

「ああ、まるわかりだ」

 図星を突かれて、恥ずかしくなった透子は目を伏せる。

「普段は、感情が顔に出にくいって言われるタイプなんですけど……」

 迅は優雅な所作で魚料理を口に運び、フォークを置いた。

「いいんじゃないか。無理に取り繕うよりは、見ていて飽きないし、面白い」

「面白い……」

「一応褒めてるつもりだ。でも、あまり緊張するとせっかくの料理も楽しめないぞ」

(こんな状況を作ったのはあなたなんですけど……)

 しかし、揶揄うような声に透子の肩の力が少し抜けた。

「では、緊張を和らげるために、お互いの話をしませんか。これから交際してくふたりとして」

 透子は小細工無しで真正面から話題を振ることにした。

「お互いの話か。たとえば趣味とか?」

「はい。他にも休日の過ごし方などは、人となりがわかりやすいです」

 すると迅は軽く首をひねった。
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