冷徹営業トップは私の限界オタクでした

火曜日も、神崎からランチの誘いが届いた。
陽菜子はしばらく画面を見つめた末、昨日と同じように断った。
ランチから戻った陽菜子は、自分のデスクの上に置かれた小さなチョコレートを見つけた。
その下には、一枚の付箋。

『またご都合が付くときにランチ行きましょう』

見慣れた神崎の字だった。

「……ちくわくん」

思わず名前がこぼれる。
断ったのは自分なのに、その優しい言葉を見ると胸が痛んだ。





水曜日。
経理部へ領収書を届けに来るのは、佐藤や寺内ばかりになった。

「神崎さんは来ないんですね」

何気なく口にすると、寺内が陽菜子を見た。

「神崎?あいつ今週、かなり外回り詰めてるよ」

「そうなんですね」

陽菜子は小さく笑った。
寺内は何か言いたげに陽菜子を見たものの、そのまま営業部へ戻っていった。


昼休みになるたび、陽菜子は無意識にスマホを確認した。
けれど、水曜日も、木曜日も。
神崎からランチの誘いは来なかった。

金曜日。
退勤時間になり、陽菜子は鞄を持って席を立った。
この一週間、神崎とは一度も顔を合わせなかった。
これなら、神崎は仕事に集中できる。
営業成績だって、きっと戻る。
自分が望んだ通りになったはずだった。

それなのに――。

「……寂しいな」

口からこぼれた言葉に、陽菜子自身が一番驚いた。
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