冷徹営業トップは私の限界オタクでした

第5話「推しのファンミに参加しました。」

昼休みを知らせるチャイムが鳴った。

その音とほぼ同時に、営業部の入り口から寺内が滑り込むように戻ってくる。外回り帰りらしく、片手には鞄を持ち、額にはうっすらと汗が浮かんでいた。

「春宮ちゃん!神崎!ランチ行こう!」

明るい声が、営業部中に響き渡る。

午前中いっぱい、神崎と山のような領収書を処理していた陽菜子は、肩がずしりと重い。

「そうですね。ご飯食べて体力取り戻します!」
陽菜子が拳を握って答えると、寺内は楽しそうに笑った。
「ずいぶん、疲れてるねぇ」

「想像していた以上に、領収書が多くて…」

「お疲れ様ッ!」

太陽のように明るい寺内の笑顔が陽菜子の心も明るくする。

「あの、私の同僚も一緒でもいいですか?」

「もちろん。いいよ!みんなで食べよう」

(陽菜子さんとのランチ……。しかも、ご友人までご一緒……)

神崎は無表情のまま静かに立ち上がった。

(これはもはやファンミーティングでは……? 陽菜子さんと同じテーブルを囲めるだけでも光栄すぎるというのに……!)

二人きりではない。それでも陽菜子と一緒に昼食を取れるというだけで、神崎にとっては十分すぎるほど特別な時間だった。

「この間、恵美とランチ行った定食屋さんがおいしかったんです。そこ行きせんか?」

「いいね。そこに行こうか」

即座に賛成する寺内。

陽菜子が神崎へ視線を向けると、神崎はいつもと変わらない落ち着いた表情でうなずいた。

「私も構いません。」
(陽菜子さんのおすすめの定食屋…)

神崎は密かに胸を震わせる。
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