君と迎えるクランクアップ

ホントの気持ち

すべての撮影が無事に終わり、スタジオのあちこちから「お疲れ様でしたー!」という歓声と拍手が湧き起こった。



ドラマ『あなたのイチバンになりたくて。』は、大きなトラブルもなく、全日程のクランクアップを迎えたのだ。



「早乙女優愛さん、オールアップです!」



花束が手渡され、フラッシュの嵐の中、優愛は最高の笑顔で深々と頭を下げた。



大人気女優としての完璧なラストシーン。



だが、その後の控室に戻った途端、彼女はバフッとソファに倒れ込み、大きなため息をついた。



「ふあー……終わったぁ……!」



「お疲れ、優愛。本当によく頑張ったな」



塁はテーブルの上に温かいお茶を置き、彼女の隣に腰掛けた。



「ねえ、塁。私、ちゃんとやり切れたかな」



「当たり前だろ。視聴率も評判も上々だし、何より……すごく輝いてたよ」



褒められると思っていなかったのか、優愛はパチリと目を瞬かせ、それから照れくさそうに顔を赤らめた。



「……塁からそんなこと言われるの、なんか変な感じ」



「マネージャーとして当然の感想だ」



「またそれ〜!」



プイと顔を背けた優愛だったが、すぐに表情を引き締め、ゆっくりと塁の方に向き直った。



その琥珀色の瞳には、もう迷いも隠し立ての光もなかった。



「ねえ、塁。もう『マネージャー』としての言葉はいらないよ」



「……優愛?」



「ずっと幼なじみで、ずっと近くにいてくれたのに、好きって言えなくて……私、もう嘘つくの嫌だ」



優愛は立ち上がり、塁の目の前にまっすぐ立った。



かつての中学校の通学路からずっと変わらない、でも今は誰よりも眩しい大人の女性になった彼女が、震える声で紡ぐ。



「私、ずっと塁のことが好き。ドラマのどのセリフよりも、塁に向かって言いたかったの。私のイチバンになって、塁」



胸の奥底で、何かが盛大に弾けた。



言い訳も、立場も、プライドも、もうどうでもよかった。



塁は立ち上がり、優愛の両肩を引き寄せると、そのまっすぐな瞳を見つめ返した。



「……遅せーよ。俺だって、ずっとお前のことが好きだったんだからな」
< 8 / 11 >

この作品をシェア

pagetop