最強の吸血鬼たちに執着されています
目を覚ますと、そこは保健室だった。

「……よかった。気がつきましたか。安心してください、ここは保健室です」

声のする方へ顔を向けると、理人さんが心配そうな表情でこちらを見ていた。

「わ、私……何が……」

「校門で倒れたんです。生徒会長のシリウス様が、ここまで運んでくださいました」

生徒会長。

シリウス様。

校門で皆がそう呼んでいた吸血鬼だ。

彼と目が合った瞬間、激しい頭痛に襲われたことだけは覚えている。

「体調はいかがですか?」

そう言いながら理人さんは私の手をそっと指した。

「倒れた際に手を擦ってしまったようで、少し出血していました。傷は小さかったので、周りに怪しまれることもありませんでしたよ。手当ても済ませていますので安心してください」

手のひらには絆創膏が貼られていた。

「ありがとうございます……。あの、私、急にひどい頭痛がして……。体は、大丈夫なんですよね?」

理人さんは少し考えるように目を伏せ、それから静かに頷いた。

「薬の副作用ではありません」

その一言に、少しだけ胸を撫で下ろす。

「恐らく、シリウス様の”気”にあてられたのでしょう」

「……気?」

「高位の吸血鬼ほど、無意識に周囲へ強い威圧感や魔力を放っています。あなたは特に吸血鬼の力に敏感ですから、本能的に拒絶反応を起こしたのでしょう」

理人さんは安心させるように微笑む。

「ですが、心配はいりません。シリウス様ほどの高位吸血鬼を前にして体調を崩す人は珍しくありません。何度か接するうちに、少しずつ慣れていくはずですよ」

 ーー高位の吸血鬼。

だから、あれほどまでに圧倒的だったのだろうか。
気を失うほどに。

「担当の先生には事情を伝えてあります。入学式はもう始まっていますが……途中からでも参加しますか?」

時計に目を向ける。
式典はすでに半分ほど進んでいる時間だった。

せっかくの入学式。
途中からでも、出られるなら出たい。

「……はい。途中からでも参加したいです」

そう答えると、理人さんは安心したように微笑んだ。

「わかりました。案内しますね」
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